男性の着物の格や種類を理解することは、適切なシチュエーションで着こなすために非常に重要です。本記事では、礼装から普段着までの異なる着物の種類とその用途、そしてそれに適した帯の選び方までを詳細に解説します。
一方で、現代ではより個人の好みで格や種類に関係なく着物を着用する人も増えてきています。本記事を読んで着物を着る際のマナーを学びつつ、それにとらわれすぎずにあなた独自の着物ライフを送っていただければと思います。
男性着物の基本知識
男性の着物は、格式高い場面からカジュアルな日常使いまで幅広く利用されています。日本の伝統的な装いとしての着物は、その種類や用途によって細かく区分され、それぞれの場にふさわしい格やマナーが存在します。この記事では、その複雑さを理解しやすく解説するために、男性用着物の格と種類、さらにその選び方や着方について深く掘り下げていきます。
着物の歴史
着物は平安時代にその起源を持ち、古くから日本の身分や社会的地位を象徴する服装として利用されてきました。特に武家において重要な役割を担い、形式や色彩が厳格に定められていました。
今日の着物の役割
現代では、フォーマルな場ではもちろん、カジュアルなシーンで着物を楽しむ若者も増えています。日常生活で気軽に楽しむための着物も市場に多数存在し、伝統と現代の要素が融合した新しいスタイルの着物も登場しています。例えば、卒業式や入学式、結婚式などのフォーマルな場から、デートや友人との食事、さらには趣味の茶道や華道などの文化活動まで、幅広い場面での着用が見られます。
これにより、着物はより身近な存在となりつつあり、その選択肢も豊富になっています。
着物の構造
男性の着物は一般的に、羽織、着物本体、長襦袢、帯から構成されることが多いです。これら一式が、正式な場では特に重要視される要素です。
・羽織: 寒い季節やフォーマルな場では、羽織が着物の上から覆いとして加わります。
・着物: 主素材はシルクや綿、麻などがあり、場面に応じて選ばれます。
・長襦袢: 着物の下に着るもので、直接肌に触れるため素材や清潔が重要視されます。
・帯: 着物を固定するため、また装飾的要素としても機能します。素材や幅広さによって種類が異なります。
男性着物の格と種類
男性の着物には大きく分けて、礼装用と普段着が存在します。礼装用は非常に格式が高いものが多く、結婚式や葬儀など、厳粛な場に適しています。普段着はよりカジュアルで、日常生活での利用に適しています。
礼装着
黒紋付(黒羽二重五つ紋付)
黒羽二重五つ紋付きは、日本の男性礼服の中で最上位に位置します。この着物は主に重要な公式行事、例えば国賓の接待や大きな神社での結婚式などで用いられ、非常に高い格式を象徴しています。
この種の着物は、一度に数多くの工程を経て丁寧に作られるため、価格も高めですが、その分、装着者の社会的地位や威厳を格段に引き立てることができます。
色紋付
五つ紋、三つ紋、一つ紋などがあり、紋の数が多い方が格があがります。黒羽二重五つ紋付きに次ぎ、略礼装、または準礼装としての格式を持ちます。公的な場ではもちろん、親族の結婚式など私的なもしくは半公式の場でも用いられることがあります。
お召一つ紋付
お召や紬の無地の着物に三つ紋や一つ紋があれば、略礼装として日常よりもやや格式の高い場面で着用することができます。普段の食事会から始まり、親しい人との集まり等、幅広いシーンで活躍します。素材にも様々なものが用いられ、季節感に合わせた選び方ができます。
外出着
紬
袴を着ずに着用でき、日々のカジュアルな外出用として非常に便利です。紬は結城紬や大島紬など、無地、または縞などの織りを楽しむことができます。素材は絹が多用されており、自然体でいながらも品のある印象を演出できます。現代では木綿や麻で作られた着物も流通しています。
ウール
日本の冬の寒さに対応するために開発されたウール着物は、暖かさとファッショナブルさを兼ね備えています。街着でも着用可能で、モダンなデザインが若い世代にも支持されています。
外出着が格上になることもある
通常、外出着はカジュアルな装いと見なされがちですが、デザインや素材によってはフォーマルな場でも適当な着こなしが可能です。例えば、お召や紬は素材としては外出着になりますが、『お召一つ紋付』のように紋をつけることで格があがります。
帯の格と種類
着物に格があるように、帯にも格と種類があります。
絹糸を使用した角帯
高級感が求められるフォーマルな場では、第一礼装に金や銀の絹糸を使用した角帯を使用しましょう。略礼装、または準礼装に対しても、絹の角帯を使用することで礼装となります。
木綿の角帯
カジュアルな着こなしに最適な木綿の角帯は、その柔らかさと使いやすさで日常的に利用されます。色と柄のバリエーションが豊富で、個々のスタイルに合わせやすいのが魅力です。外出着や街着として使用しましょう。
兵児帯
兵児帯は柔らかい生地でできており、角帯に比べて締め付け感が少ないため長時間の着用でも快適です。その軽やかさと涼しげな見た目で、暑い日の和服の装いに活躍します。くつろぎ着用であるため、礼装としては着用できません。
まとめ
この記事では、男性着物の「格」とそれに応じた「種類」について紹介しました。
最もフォーマルな場に相応しいのは、黒羽二重五つ紋付などの礼装着であり、略式の場では色紋付やお召一つ紋付が適しています。一方、日常で気軽に着用することができる紬やウールも多くの男性に愛用されています。
シチュエーションによってさまざまなルールがある着物ですが、現代ではよりカジュアルに街着として着用されることも多くなってきています。いきなり全てを理解し、TPOに合わせ着こなすのは難しいと思いますので、格や種類は文化的な背景を理解するにとどめ、まずは自分の好みのスタイルで着てみるのも良いでしょう!
目的に合った着物と帯を選び、かっこよく着物を着こなしましょう!